FX の検証環境は、過去の為替データと、その上で売買を試すための道具をひとそろいにしたものです。
Mac しか手元にないと、この道具を選ぶ段階で手が止まります。検証ソフトの中には Windows 専用のものがあり、Mac ではそのまま起動できないためです。取れる道は 2 つあります。Mac の中に仮想環境を用意して Windows 用のソフトを動かすか、ブラウザで動く検証環境を選ぶかです。
仮想環境か、ブラウザか
仮想環境を使う方法は、使いたいソフトがすでに決まっている場合の選択肢です。Mac の中に Windows を動かす場所を作り、その上にソフトを入れます。手持ちの Mac でソフトが思いどおりに動くかどうかは環境ごとに違うので、検証を始める前に、動作を確かめる手間が加わります。
ブラウザで動く検証環境なら、インストールは要りません。OS の違いを気にせず、ブラウザを開いたところから検証に入れます。
分かれ目は、ソフトを先に決めたいか、検証を先に始めたいかです。デスクトップ版と Online 版がある Forex Tester と AIトレードナビの違いは、比較ページで確かめられます。
始める前にそろえるもの
道具より先にそろえるのは、検証で答えを出したい問いです。自分の裁量判断が過去の相場でどう働いたかを見たいのか、言葉にできる売買ルールの成績を見たいのか。前者は手動の検証、後者は自動の検証に向いていて、使う機能もここで決まります。
次は通貨ペアと時間足です。普段トレードしている組み合わせを選ぶと、検証で積んだ判断をそのまま実際の相場に持ち帰れます。
最後に用意するのは、エントリーのたびに理由を書き残す置き場所です。紙のノートでもメモアプリでも構いません。勝ち負けの記録だけでは後から振り返る材料が足りず、「何を見て入ったか」「どこに損切りを置いたか」を残しておくと、同じ形の場面を並べて見比べられます。
手動バックテストを進める順番
手動バックテストは、未来を隠した過去チャートを 1 本ずつ進めながら、自分の判断で成行・指値・逆指値を発注していく検証です。条件の形に書き出しにくい裁量の判断を、そのまま試せます。
手順の起点はセッションの作成です。通貨ペアと時間足を選んでセッションを作ると、チャートは未来が隠れた状態で表示されます。そこから 1 本ずつ足を進め、入りたい場面が来たら発注して、損切り(SL)と利確(TP)を置きます。あとは足を進めて約定を待つだけです。価格が SL か TP に触れれば自動で決済され、結果は残高・証拠金・含み損益に反映されます。発注の操作まで含めて検証の対象になるのが、手動ならではの点です。
手を止めて考え直したいときは、チャートを 1 本戻せます。戻した時刻より後に起きた約定や、残高・証拠金の変化も、口座ごと元に戻ります。結果を知ったまま同じ場面をやり直すと検証にならないため、口座の状態ごと巻き戻す仕様です。
1 本ずつ進めるのが遠回りな場面では、ジャンプが使えます。行き先は翌日始値・翌週始値と、東京・ロンドン・NY の開始時刻です。たとえばロンドン開始直後の値動きだけを練習したいなら、その時刻へ飛んで判断し、終わったら翌日へ移ります。
AIトレードナビの過去データは、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・AUD/JPY・EUR/JPY・XAU/USD の 6 通貨ペアです。1 分足から日足まで 7 種類の時間足があり、1 分足で約 11 年、1 時間足以上で約 16 年ぶんを毎日自動で更新しています。
無料で使える範囲と、つまずきやすい所
無料プランの手動バックテストは、セッションが 2 つまで、1 セッションの期間が 3 ヶ月まで、チャートは 1 枚、インジケーターは 12 種です。クレジットカードの登録は要りません。
つまずきやすいのは、上位足を見ながら下位足で入る手順を検証したいときです。無料ではチャートが 1 枚なので、時間足を並べて同じ時刻で見ることはできません。プロプランでは最大 4 枚のチャートを同じ時刻で並べられ、インジケーターも 71 種すべて、1 セッションの期間も 12 ヶ月までに広がります。普段使っている指標が無料の 12 種に入っているかどうかは、始める前の確認事項です。
結果の振り返り方にも一つ注意点があります。手動バックテストの統計ダッシュボードと AI レビューは開発中で、現在の確認手段は履歴と残高です。前の節で用意した理由の記録が、ここで振り返りの材料になります。
足の中の値動きは、1 分足の始値・高値・安値・終値の 4 点で近似しています。ティックデータは使っていないため、約定の細かな順序まではティックの精度で再現されません。描画ツールは水平線・トレンドライン・フィボナッチ・リトレースメントの 3 種で、矩形やテキストの描画は開発中です。
条件が言葉になったら
手動で場面を重ねるうちに「この形が出たら入る」と書ける条件が出てきたら、自動バックテストに渡す段階です。AIトレードナビの自然言語バックテストは、日本語で書いた売買ルールを AI が検証可能な形式(DSL)に変換し、手動バックテストと同じ過去データの上で回します。同じ入力からは同じ結果が出るので、条件を少し変えたときの差を比べられます。結果として出るのは、勝率・プロフィットファクター・最大ドローダウンなどの指標とエクイティカーブです。
無料プランでは月 10 回、直近 1 年、1 時間足・4 時間足・日足の範囲で使えます。スプレッド・スリッページ・スワップは損益に含まれないので、数字はその分を差し引く前の値として扱います。
次に確かめられるのは、普段の通貨ペアと時間足で 3 ヶ月のセッションを 1 つ作り、最後まで進めたときに、ノートに理由つきで残った判断がいくつあったかです。セッションの作り方から巻き戻しまでの手順は、手動バックテストの機能ページに順を追って載っています。